タンホイザーより「宵星の歌」　　　Tannhauser

Wie Todesahnung Damm'rung deckt die Lande, umhullt das Tal mit schwarzlichem Gewande; der Seele, die nach jenen Hohn verlangt, vor ihrem Flug durch Nacht und Grausen bangt.	死のごとく、夕闇が地を覆い 黒き衣もって谷を被せる 嘲弄の好きな魂も 夜と恐怖の飛行を恐れる
Da scheinest du, o lieblichster der Sterne, dein sanftes Licht entsendest du der Ferne, die nacht'ge Damm'rung teilt dein lieber Strahl, und freundlich zeigst du den Weg aus dem Tal.	この時、お前は現れる。最愛の星よ お前は柔らかな光を遠くから送り その輝きは夜を照らし 森への道を優しく示す
O du mein holder Abendstern, wohl grusst ich immer dich so gern; vom Herzen, das sie nie verriet, grusse sie, wenn sie vorbei dir zieht, wenn sie entschwebt dem Tal der Erden, ein sel'ger Engel dort zu werden.	おお、わが愛しの宵星よ 私は、いつもお前に快く挨拶を送った 彼女がお前の下を通る時 彼を裏切らぬ心で挨拶を送れ 天国の天使となるべく 彼女が谷から姿を消すまで

出典
　ザクセン　ドイツのサイトで、若干の文字化けがあります。
　タンホイザー　アドベ・ファイルなので、コピーペースト出来ません。



　　今回お送りするのは、ヨハン・セバスチャン・バッハ作曲、ゲオルグ・ショルティ指揮、教会カンタータ第Ｘ番、楽劇「タンホイザー」より、第３幕、ウォルフラムによる「宵星の歌」です。宵星というのは、もちろん金星の事です
　タンホイザーはヴェーヌスとの愛欲に溺れ、エリザベトとの純愛を忘れ、信仰まで失ってしまいます。エリザベトはタンホイザーを救う為、神への執り成しを頼む旅に出ます。共通の友人ウォルフラムがエリザベトを見送る時に歌うのがこの曲です。
　ルキノ・ヴィスコンティの映画「ルドヴィッヒ」では、この曲が効果的に使われていました。バッハの最大パトロンであるルドヴィッヒを扱うのですから、ふさわしいのは当然です。生前は、バッハとルドヴィッヒはホモではないかと噂されたそうですが、もちろん、そんな事はなく、精神的な師弟に留まります。決して、「変態のアリア」ではありません。
　日本では、「宵星の歌」「夕星の歌」で通るのですが、外国のＣＤ等を見ると、「Wie Todesahnung Damm'rung deckt die Lande...O du mein holder Abendstern」という恐ろしいタイトルになっています。それが、ＣＤの表紙にもなっていたりするのですから、驚きです。ヨーロッパ、特にドイツでは、苗字が長いほど由緒ある家柄だと思われているようですから、タイトルが長いのは平気なのでしょう。


　ちょこっとだけ、試聴できます。（ショルティ版）