平成狸合戦ぽんぽこ

　多摩丘陵の開発が進む。
　東西に分かれて戦う狸達、膠着化した頃、おろく婆がどんつくを鳴らして割る。 用心棒のラストより効果的に使われている。鉄塔に登って丘陵の様子を見る狸達。
　古寺での大集会、古来より伝わる化け学を使って狸の存在を知らしめようと意 見が一致。
　化学の訓練、変化しなかったり、大きすぎたり、しっぽを出したりと様々。
　実地訓練、年長者が付いて町へ出る。眼が隅ができ、ドリンク剤を飲まないと 倒れる。
　道端で美女が泣いている。警官が近付くと、のっぺらぼう。マンボのリズムに 乗るのは、鈴木清純の肉体の門。
　清六と花子、星の子兄弟に化けて飯場を訪れる。職人達の眼をくらまし、布団 の上で暴れ、ハンガーにぶら下がってロープウェイ遊び。果てはやかんを引っく り返して、くすくす笑って消える。
　ごん太の強硬手段、数人がかりでダンプカーを倒し、ショベルカーを壊す。
　テレビニュース、多摩で何かがあるとの報道。みな歓喜。ただし終わりに、開 発に影響はないと伝える。皆がテレビに寄り、ごん太は下敷きになって重症を負 う。人間相手の怪我でない所がみそ。
　佐渡と四国に使者を送る。
　発情期で、春を謳歌するみんな。清六にも子供ができる。

　トラックの荷台から一匹の狸が落ちる。使者かと思えば、神奈川の狸。多摩か ら運ばれた土が、神奈川の山谷に捨てられていると言う。
　ド派手な三人組の爺が、電車にクルマを乗り継いで、多摩に現われる。待ち焦 がれた四国の長老達。はげ頭、八代目、犬神の三人。大規模な訓練。
　多摩での百鬼夜行、始めは花咲か爺さん、ついで狐の嫁入り。風流な日本の昔 話が形象化される。福助が出る頃からグロテスクになる。妖怪の行列が続く。場 面は変わって屋台の飲み屋。ふたりの男が話す背景に様々な妖怪が通る。骸骨が 向こうから正面に迫る所は運動感がある。マンションの一室、戸の隙間から入る 雲の妖怪、始めて女に悲鳴を上げさせる。ゴミ捨て場に、台所に現われて、単な る幻影でなく、リアリティを持って迫るようになる。洪水を起こし、大火を見せ て、人々を脅え惑わせる。ひと通り終わると、花火が終わったような感じ。
　犯人探し、マスコミの騒動が持ち上がると見れば、テーマパークの社長が、う ちの仕掛けたアトラクションだと出し抜く。落胆する狸達。
　はげ頭はすっかりぼけて念仏を唱える毎日。無念の長老はマスコミ充てに手紙 を出す。狐の訪問、唯一気丈な八代目を伴って都心のクラブへ。そこは狐の経営 するクラブ。実は多摩の狐、人間に混じって生きるしか道はないと説く。
　はげ頭は最後の念力で宝船に化け、信者を連れて川を下る。
　ごん太率いる過激派、人間のチェーンソーを奪い、山に立ち入らせない。機動 隊と押し合いの末、討ち死に。
　マスコミの取材班、山を訪問する。答えをする狸、小走りに姿をも見せる。ラ イトが当たった所に、信楽焼きの姿で長老が現われる。正体を現わすが、上がっ て喋べれない長老。おろく婆が変わって、山はみんなの物だと訴える。熊に化け、 鹿や兎など、森の生き物に化ける仲間達。
　ごん太の部隊、最後の力を振り絞って大首に化ける。クルマを惑わし、その上 に乗るが、最後はトラックに撥ねられる。
　翌朝、佐渡の使者が帰って来る。浦島太郎の役回り、変わり果てた多摩丘陵に 涙する。このニュータウンに幻術で昔の姿を甦らせようと提案する清六。残り少 ない森が、多くの樹に囲まれる。道の真ん中に湧き起こる樹。団地が崩れて、山 が甦る。団地の人にも、その様が見える。のどかな村の風景。庭に囲まれた農家。 子供が橋を渡る小川。農道を歩く老婆を、知り合いだと指して近付く団地の人達。

寸評