ノーマンズ・ランド（1987）

　新米巡査のベンジー、非番中に夫婦喧嘩に割り込み恥をかく。実直さと日常性 とが出ていて良い。クルマに詳しいので囮捜査を頼まれる。
　たれ込み屋の仲介で整備工場に入る。盗難と警官殺しの容疑がある。工場長は やり手の黒人。一日八時間、時給140ドル。良い条件。
　深夜、呼び出されて丘の上にオーナーのクルマを修理しに行く。若いオーナー のテッド。運転の腕を試される。気に入られる。
　工場に若い女性が。美人。テッドの彼女と思う。深夜のパーティに招待され、 妹と紹介される。手の届かない美人と思われたものが、もしかして手の届く存在 になる。
　盗まれたクルマを取り返すのを手伝ってくれと頼まれる。テッドとベンジー、 駐車場へ行く。合鍵を持たされて、ひとりでポルシェに向かうベンジー。クルマ 泥棒以外の何者でもない。係員数人に追い回され、走り回って逃げるベンジー。 テッドの家に泊まる。翌日、妹の案内で家を見る。探検が出来るような家。しが ない主人公に世界の広がり。
　工場長の命令で別の相棒と組んでクルマ泥棒。途中、警備員に見付かり、すぐ 逃げる相棒。手錠を掛けられ、警備員が警察を呼びに行った隙に、ひとりの男に 脇腹を殴られ、手の甲を切り付けられる。「うちのシマを荒らすな」の一言。甘 くない現実。警察から工場へ電話を入れ、もう俺は降りると怒鳴る。
　テッドに別れの挨拶。もっと良い相棒をつけると約束される。妹を残して出か ける。兄が良い友人を選ぶようになったと信頼される。辛い所。
　高級住宅街、ブランド物の袋を下げてポルシェを狙うテッドとベンジー。何台 も成功し、カーステレオのテープを趣味が悪いと捨てる。楽しい場面が続く。最 後の一台、テッドが開錠している所に銃弾が。保険屋か敵ギャングかよく判らな い。慌てて拾い、クルマ三台のカー・チェイス。一台は玉突き衝突、もう一台は トラックに乗り上げ、さらに地面に激突。
　用件で朝一に工場に顔を出すテッド、工場長が殺されているのを見る。警察沙 汰、事務所で取り調べを受けるテッド。次の尋問はベンジー。上司と顔馴染みの 中でつい軽口を叩くベンジー。上司は冷たくあしらい、型通りの尋問を行う。
　その夜、テッドとベンジーの二人、敵ボスの姿を求めて夜の街へ。武器の携帯 を渋るベンジー。離れた所で敵ボスを仕留めるテッド。すぐ後、警察内通者から テッドに脅迫電話、カネ寄こせ、これが警官殺しの正体。ついでにベンジーが囮 捜査官である事を教える。ベンジーにカネを持たせて、約束の場所へ行かせるテッ ド。老刑事とベンジーの揉み合い、老刑事はカネを奪い、ベンジーをも殺そうと する。クルマで様子を見ていたテッド。老刑事を撥ね殺し、ベンジーを助ける。 別れたベンジーは上司の自宅を尋ね、いきさつを話す。それを見ているテッド。 翌朝電話しろと玄関払いされるベンジー。
　妹と朝を迎えるベンジー。買い物に行った隙に何も知らない父親が尋ねて来て、 すべてばれてしまう。上司に電話を入れると騒々しい応対。駆け付けると、上司 が殺されている。
　クリスマス後の最後の仕事をしに買い物街へ出るテッドとベンジー。テッドは 信頼できる友人が欲しかった。ベンジーは相手の無実を信じ、足を洗わせようと していた。撃ち合う二人、フィルム・ノワールのような凄みさえ帯びるラスト。

寸評
　決して大作ではないんだけれど、最近多い、オトリ捜査ものや、クルマ泥棒もののハシリとなった作品。 タイトルは無人地帯っつー意味らしいです。