プッチーニ

ラ・ボエーム
　　〜貧乏詩人ロドルフォとミミの出会い〜

私は誰であるか？　私は詩人です。
何をしているのか？　書いています。
それで、どうやって暮らしているのかって？　
　私は生きています。
私は気楽な貧乏暮らしの中で、
　愛の詩と歌でもって、
　王侯貴族のような暮らしをしているのですよ。
夢と、幻と、
　空中に描いたお城によって、
　私は百万長者ミリオネアの心を持っているのです。
時々、私の宝石箱から、
　ふたりの泥棒が、宝石を全部、盗み出すのですよ。
美しい眼という泥棒が、
　たった今、あなたと一緒に入って来て。
私のこれまでの夢は、
　私の美しい夢は、
　いっぺんに消え失せてしまいました。
しかし、盗まれた事は悲しくありません。
　なぜなら、なぜなら、
　私の部屋は希望を得ましたから。
さあ、これで私の事はわかったでしょう。
　今度はあなたの事を話してください。

トスカ
　　〜歌に生き、愛に生き〜

歌に生き、愛に生き、
　生あるものを決して疎かにしませんでした。
私が知る限りの、多くの気の毒な人達には、
　ひそかに救いの手を差し延べてきました。
いつも深い信仰をもって、祈りを、
　神聖な祭壇に捧げましたのに。
いつも深い信仰をもって、お花を、
　祭壇に捧げましたのに。
苦難にあった今、なぜ、
　なぜ主は、このようにお報いになるのでしょう。

私は数々の宝石を、
　聖母のマントに捧げ、
ひときわ輝く夜空の星に、
　歌を捧げましたのに、
悩んでいる今、なぜ、
　なぜ、主はこのようにお報いになるのでしょう。

蝶々夫人
　　〜ある晴れた日に〜

ある晴れた日、
　はるか彼方に、
　煙が見え、
　船がやって来る。
真っ白い船が、
　港に入り、
　礼砲が響き渡る。　見える？
　帰ってらしたのよ。
けれど私は迎えに行かないわ。
　向こうの、丘の端に立って待つの。
いつまでも、
　どんなに長く待っても、辛くないわ。
間もなく群衆を掻き分けて、
　ひとりだけ抜け出して、
　この丘を登って来るわ。
誰でしょう？　その人は？（＝キッサラ、キッサラ）
　ここへ着いたら、
　なんと言うでしょう？
遠くからきっと、
　蝶々さんと呼ぶわ。
でも私は返事をせずに、
　隠れるの。
からかうのよ、ほんのちょっと、
　久し振りに会うので。
　喜んで、死んでしまわないように。
するとあの人は、
　心配になって呼ぶわ。
　美女桜の香りのような、
　かわいい奥さん、と。
あの人がここへ来た時、
　私に付けてくれたあだ名よ。
話して置きましょう、
　きっとそうなるわ。
　お前が心配しても、
　あの人は帰って来る。

ジャンニ・スキッキ
　　〜お父様にお願い〜

私の大好きなお父さん、
　あの人が好きなんです。
これから二人でポルタ・ロッサへ、
　指輪を買いに行かせて下さい。

ええ、ええ、どうしても行きます。
　もし、お許しがなかったら、
ヴェッキオ橋へ行き、
　アルノ河へ身を投げるつもりです。

本当に心からの愛です。
　命をかけて、
だから父さん、お願い、お願い。
　だから父さん、お願い、お願い。

ジャンニ・スキッキ原文

　　（原文をイタリア語のまま引用）



オーミオ　バ・ビーノ　カーロ　
ミ・ピアーチェ　ベーロエ　ベーロ　
ボ・アンダーレ　ポルタ・ロッサ　
アコンペーラー　レネーロ。

シ　シ　チーブロ　アンダーレ　
エッセラマ　セーインダーノ　
アンドレ　ソル　ポルテ・ベッキオ　
マプレ　ブッター　ミ・イン・アルノ。

ミスリー　グミー　ミトゥーメント　
オー・ディオ　ボレー　モリー。
バブ　ピエタ　ピエタ。
バブ　ピエタ　ピエタ。

参考
　プッチーニ　プッチーニの一生と作品
　プッチーニ　プッチーニの略歴
　tvzオペラ　蝶々夫人、ラ・ボエーム等の粗筋、舞台写真が豊富。
　蝶々夫人
　トスカDVD紹介
　プッチーニ作品年鑑
　ジャンニ・スキッキ　歌が聴けます。
　ジャンニ・スキッキ　よもやま話
　
　
　
　
　
　

寸評
　凡百の詩を越える内容です。

　ジャンニ・スキッキは、九十年代後半からよく聞かれるようになりました。まるで、フェミニズム終息宣言のように。

　イタリアや、キリスト教って、いいかも。

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