ミュンヒェンの白いばら
山下公子、筑摩書房、1988、
ケルン空爆、物資不足、ロシア遠征が凍えずに済む夏、
大統領ヒンデンブルグ、ブリューニング内閣、1930-1932すさまじい経済恐慌、
1932.5/パーペン組閣を任命。二度の解散、野党の進出。パーペン辞任、シュラ
イシャー辞任。「あのオーストリア生まれの伍長を首相にするつもりはない」
1933.1/30、ヒトラー任命。午後七時、松明行列。
内相フリック、無所任相ゲーリング。1933.2/11、プロイセン州警察に警察予
備隊が編入、その中身は親衛隊と突撃隊。私的武装集団が正規の警察組織として
治安維持に当たる。3/13、ゲッベルス国民啓蒙相。
3/22、強制収容所第一号、ダッハウ。初期は政敵の不法監禁、親衛隊からの反
発も強い。1934.6-7、レーム粛正。
1934.8/、ヒンデンブルグ死去、ヒトラー総頭就任。
ローテ・カペレ、カトリックの散発的な戦い。
重度障害児、および精神障害者の安楽死。子供五千、大人十万。「役立たずの
障害者の為に、有意の青年の力が浪費されている」
1941.8/3、ミュンスター司教クレメンス・フォン・ガーレン、「傷夷軍人も老
人もみな殺しても構わない事になる」
ハンス・ショル、ミュンヘン学生中隊曹長。ヒトラーユーゲント、父に反抗、
党大会の旗持ち、大学で勉強しながら遠征。
ソフィー・ショル、一番利口なお嬢さん、士官候補生フリッツ・ハルトナーゲ
ルと交際、前線との文通。労働キャンプ、十二人の娘との協同生活、心を開かな
いソフィー。ロシア前線への防寒着の供出を断る。
アレクサンダー・シュモレル、ロシア人の母は早く亡くなり、ロシア人乳母フ
ランツィスカに育てられる。意外とロシアと交流の深いドイツ。祖父はロシアで
毛皮商。愛称アレックス、シュリク。
1935.6/、労働キャンプの義務付け。都市の若者を農村へ、額に汗して働く尊
さを青少年に。 アレックス、騎兵砲隊としてリンツ、ズデーデンへ。
プロイセンに楯つくバイエルンの首都ミュンヘン、ハンザ都市ハンブルク、そ
こで学ぶシュリク。スウィング流行、自宅で読書会。
クリストフ・プロプスト、父ヘルマンは画家クレーやノルデと交際。後妻エル
ザベート・ローゼンタール、人の良い老婆。22才で所帯を構える。姉アンジェリ
カの回想、「彼はいつでも働き過ぎでした。年より老けて見えましたし、唇の辺
にうっすらと厳しい線が走るようになりまして、見ているこちらが傷ましいよう
でした」
女流画家リーロー・ラームドーア、
ヴィリー・グラーフ、ラインラント、ザール地方出身、青年運動、ボン、軍属、
ドーバー、ベルギー、南仏、クロアチア、ロシア、前線で家屋の接収を見る。ロ
シア少女との心の交流、バラライカ。ミュンヘン、兵舎を出て下宿暮らし、フェ
ンシングクラブ、、兵舎でハンスを知る。
カール・ムート、作家、高き地。
エルンスト・ヴィーヒェルト、
テオドール・ヘッカー、作家、以上ショル家と知り合い。
オトゥール・アイヒャー、風防灯火、学歴なし、一兵卒として前線へ。ショル
家、ムート、ヘッカー等と交際。
1942.7/23、ハンス、アレックス、ヴィリーの学生中隊、ロシアへ。ワルシャ
ワの惨状、リトアニア、カウナス、広大な広野。スモレンスク、汚濁、悲惨、瓦
礫の中に教会。ひどい目に合った人達の中に立つ。皆がパンを探す。
ロシアの地平線、桁外れの衝撃。エカテリーナはドイツ出身。コレラ予防、腐っ
た死体を埋める、過度の輸血でジフテリア。
ロシア人と酒を飲み、歌い、踊る。村人の往診、ロシア語の習得、教会へ、漁
師とともに魚取り。コミュニストからの解放、土地を返してくれるという見方。
「おお、ドイツ人がやって来たぞ、土地を返してくれるぞ」
ドスト、ゴーゴリ、プーシキン、ツルゲーネフ、「みんなわしらの詩人だよ」
と語る百姓、洗濯女、郵便配達夫。
帰還後、妹アンネリーゼを呼び寄せるヴィリー。
クリストフ、病院、家族、義母の家を自転車で通う。
ロベルト・ショル、女子事務員に密告。虐げられ、搾取されている婦人労働者
は、堕落した資本家を罰する手段を持っていた。そして、そうした。
「自分達が心の奥底深くに意識せぬままある願望を抱いており、しかし、それ
を現実には意識できないほどその願望の上に様々な恐怖や、おもんばかりや、体
面や不安が積み重なっている時、その何かをあっさり実行してしまう人間がいた
ら、その人間は憎まれずにはいない」
ウルム近郊の軍需工場で働くソフィー、ロシア人女工とともに。ロシア、ポー
ランドが多い。
兄ハンスのロシアからの帰郷をフリッツに知らせるソフィー。
ハンス、護送途中のユダヤ人少女に花を添えてチョコレートを上げる。
画家リーロー・ラームドーア。若い未亡人。彫刻家志望のアレックス。家族に
はいとこと紹介、大きい荷物を許す。
出入りするファルク・ハルナック、表向きは演出家、実はローテ・カペレの一
員。ハンス、アレックス、駐屯地ケムニッツのハルナックを訪ねる。ビラを見せ
て助言を乞う。
トラウテ・ラフレンツ、アレックスの紹介でハンスを知る。
クルト・フーバー教授、ドイツ民謡の研究家、ベルリン大学の招聘、ナチ学生
同盟の歌作曲の依頼、また戻る。娘、労働者の家を訪問、ジャム付きパンが出る。
生活の為にナチ入党、教会へ行くのを止めろ、娘に学校へ行かせるな。
ハンスを巡るトラウテのほか、かなり親しいローゼ・ネーゲレ、すぐ喋べるギ
ーゼラ・シェルトリング、
赤貧洗うが如しながら、貴重なコーヒーを出すフーバー。
1942.10/、ソビエト、レニングラード反撃。同時期、北アフリカ連合軍上陸。
戦局を伝えるイギリスＢＢＣ。国民の苛立ち。ミュンヘン大学470年祭、女子大
生の抗議。集会から帰るアンネリーゼ。
1943.2/3、スターリングラード敗戦。
軍人貴族ヒンデンブルグ大統領。
落書き、ハンス、アレックス、ヴィリー。自由、打倒ヒトラー。タールと型枠
で書く。
ミュンヘン大学でのビラ配り。
フリッツ、指二本、凍傷で切断。
フーバー家の郵便受けに募金。加えて、ハンス・ライペルトの募金。
寸評
皆さん、チラシを配りましょう。そして、落書きをしましょう。