１９５５、３／２９ 新婚当時の写真 妻・蔡阿季と
さいきん亡くなられました。
台湾監獄島
柯旗化、1992
第一出版社、台湾、高雄市新興区八徳二路３７号
戦後、私たち台湾人は、強制的に日本籍から中国籍に国籍を変更させられた。台湾の住民の意思はまったく無視されたのである。
案の定、国民党が台湾を占領してから一年半も経たない１９４７年２月２８日に、二・二八事件が起きて、何万人という台湾人がシナ兵に虐殺された。
用語
外省人＝中国人
本省人＝台湾人
履歴
四年生になった時、同級生のひとりが「小学四年生」という雑誌をクラスに持って来て読んでいるのを見て、その雑誌を借りて読み、すっかり魅了されてしまった。
小賞には何回か当選して、私の名前が「台湾」と記されている欄のごく少数の当選者の中に入っているのを発見すると大喜びで、賞品を貰えるのもとても嬉しかった。
１９４４、８月３１日、Ｂ２４による空襲。それから後、Ｂ２４はほとんど毎晩のように空襲にやって来た。
１０月にはアメリカの機動部隊が東台湾に接近し、空母から飛び立った何百機というグラマン戦闘機が全島各地を空襲した。疎開地の上空ではゼロ戦とグラマンが入り乱れて大空中戦を展開した。豆を煎るような機銃の音とともに何機かが火を吹いて落ちて行った。その多くはゼロ戦であった。
１０月中旬から国民党の官吏と軍隊は、米軍の軍艦や輸送船に搭乗して台湾に上陸した。日本軍はトラックを波止場に派遣して国民党軍を運ぶと申し出たが、国民党軍兵士は怖がって日本軍の申し出を断り、兵舎まで歩いた。
波止場や駅へ国民党軍を歓迎に行った民衆と学生は、雨傘を背負い、天秤棒で鍋釜や布団を担いだ、敗残兵か難民のようなだらしのない恰好をした中国兵の行列を見て、幻滅の悲哀を味わった。
さらに悪い事には、市場へ買い出しに行った国民党軍の兵士たちは、大陸にいた時と同じように、無理やりに品物を安く値切って引ったくり、売らない商人を殴打し、蹴飛ばした。軍規が良くて気前のいい日本兵を見慣れていた台湾の商人は、呆れるとともに憤り、前途に対して不吉な予感を感じた。
中国には、好鉄不打釘、好人不当兵（良い鉄は釘にせず、良い人は兵にならない）という人口に膾炙する諺がある。この諺でも分かるように、志願して兵隊になる者にはならず者が多かった。
しかし、新兵のほとんどは拉壮丁（ﾗﾂｱﾝﾃｨﾝ）といって、路上で相手構わず若者を捕まえて無理やりに兵営に引きずり込み、強制的に入隊させられた者であった。頭を丸坊主にされ、眉毛も剃られて、日夜監視されているので脱走する事ができない。脱走して捕まると、半殺しに遭うか、はなはだしい場合には銃殺される事もあった。
中国の軍隊には、砲声一響、黄金万両（砲声ひとたび響けは、黄金万両）という言葉があるが、このように中国兵は戦乱のどさくさ紛れに略奪したり、婦女子をレイプしたりしたので、民衆から軽蔑され、憎まれたのである。
戦後台湾にやって来た国民党軍の兵士たちは、買い物に行くと売値の何分の一かの金を投げて品物をふんだくり、安く売らない商人を殴ったり蹴ったりした。店の品物はよく中国兵に盗まれ、強奪される事もあった。時には通行人も略奪された。兵営のそばを通る女性は、兵営内に引きずり込まれて輪姦されても、泣き寝入りするほかなかった。中国兵が無理やりに若い女性に結婚を迫り、それを拒んでピストルで撃たれた人もいる。中国兵に嫁いだ台湾女性の中には、後に上海の売春宿に売られた女性もいた。軍規がよく、気前も良くて、「兵隊さん」と親しまれていた旧日本軍の軍人たちと比べると雲泥の差で、台湾人は横暴な中国兵を「シナ兵」と蔑んで憎んだ。（Ｐ６９）
１９８５年、高雄市の新興国民中学で、女生徒が放課後校内の鍵のかかっていた一室に連れ込まれ、いたずらされた上に惨殺される事件が起きた。退役外省人老兵である小遣いの責任区域内で起きた事件で、この老小遣いだけがその部屋の鍵を持っていた。当日この老小遣いが、その女生徒を連れて歩いているのを見た証人もおり、この退役老兵が犯人である可能性が大きかった。犯行を証明する決め手は、女生徒の片手に固く握りしめられていた一本の白髪であった。
ところが数日後に発表された鑑定報告は、この白髪は犬の毛であるという意外なもので、皆を唖然とさせた。
犯行の起きた学校の先生方が見るに見かねて、連署して告発した。殺された女生徒の父親も、あくまで犯人を追及すると憤慨していたが、後で圧力をかけられたのか、それとも金で丸められたのか、やがて沈黙してしまい、この殺人事件はうやむやになった。犯人は今に到るまで不明である。いや、不明ではなく、当局が犯人を告発しない事に決めたのである。
外省人老兵には心理的に異常な者が多いので、部隊の中でよく自殺事件やリンチ殺人事件、上官殺害事件などが起きた。
終戦になると、中共はソ連が東北（満州）で旧日本軍の武器弾薬をそっくり譲り受けて人民解放軍を装備し、旧日本軍の兵隊を徴用して内戦に参加させ、東北を席捲して破竹の勢いで華北に迫った。
敗戦で日本に送還されるのを待っていた日本兵の一部は、国共両軍の捕虜になり、強制的に内戦に参加させられた。捕虜になった日本兵は、言葉の通じない異国では脱走する事もできず、何千という旧日本軍人が涙を飲んで、中共軍もしくは国民党軍の為に戦い、死んでいった。その遺骨はどこに埋められているのか、誰も知らない。「徳を以って怨に報いる」という体裁のよいスローガンの裏には、こういう不幸な犠牲者が多数いた事を忘れてはならない。（諸君1990/4、荒井勤「中国革命の人柱にされた旧日本軍）
中国人は利己主義の上に不正直で、法を守らず、拝金主義者が多い。これらの民族性は、文明国家では欠点と見なされるが、中国人自身は別に悪いと思っていないところに、中国社会の問題がある。
協力を重んじる日本の社会では、利己主義的な人間は社会から排斥されるが、中国では、人不自私、天誅地滅（利己的でない者、天誅を受け、地に滅ぶ）という諺が示すように、人間が利己主義なのは当たり前だと考えられている。
中国人の元旦の挨拶は、恭喜発財（ｺﾝｼｰﾌｱﾁｬｲ＝お金が儲かりましておめでとうございます）である。中国人にとって一番大切なのは、お金だからである。官吏と軍人に対しては、恭喜昇官発財（ｺﾝｼｰｼｮｰｶﾝﾌｱﾁｬｲ＝官位が昇り、お金が儲かりましておめでとうございます）と元旦に挨拶する。官位が昇ったら、なんでお金が儲かるのだろう。もちろん賄賂を取るからである。
中国人は宣伝が上手で、よく嘘をつく。卑劣で厚かましい中国人だからこそ、臆面もなく真っ赤な嘘が言える。
例、南京大虐殺、数万以下→２０万、３０万とはったり
外省人、国連統計で百数十万→３５０万、４００万。
台湾議会での、台湾人による暴力を捏造。
台湾もだんだん汚染されて、台湾人も中国人のように拝金主義者になり、人格よりも金銭を重んじるようになった。
日本統治時代は泥棒が非常に少なかったが、現在ではかつての大陸と同じように到る所に泥棒が出没するので、家々の窓には盗難防止の鉄格子がはめられている。
二・二八事件
1947.02/27、専売局専属警察、ヤミ煙草商の女性を殴り、野次馬に発砲、射殺。
02/28、行政局、抗議の群集に対して機銃掃射。
全島での民衆蜂起、国民党軍相手に善戦。
国民党、自治要求を受け入れると騙す一方、南京政府に援軍を要請。
03/09、南京政府軍、基隆、高雄に上陸。台湾人２万人以上を虐殺。
米ワシントン・ポスト紙、国民党の台湾人民大虐殺を批判、台湾は引き続き日本に統治されるべきと主張。
1951、特務機関による思想弾圧。台湾独立、共産主義を弾圧。（台湾人は基本的に独立指向、外省人が共産主義とともに台湾独立を説いたので、話がややこしくなる）
柯氏、中学教師になる。
外省人の少年、共産党の歌を歌って特務に逮捕される。
少年、学校の教師は全員共産党に入っていると嘘の供述。
教師Ａ、顔が毛沢東に似ているので逮捕。
Ａ、無実を証明できる友人として柯氏の名を挙げる。
柯氏、逮捕。
暴行、不眠、マルクスの本を読んでいたと言う事で、有罪。懲役二年。
獄中、日本統治時代を懐かしんで、本省人同士、日本語で喋ったり、日本の歌を歌ったりした。
ある晩、就寝前のひと時を隣の本省人と日本語と台湾語とを交えてだべっていると、そばにいた外省人の船員上がりの男が、「お前たち台湾人は日本の奴隷化教育を受けているから日本語で喋りたがる」とぬかすので、「何が奴隷化教育だ！ もう一度言ってみろ！」と私が怒ったら、こいつはしゃあしゃあともう一度繰り返して言ったので、私は拳骨を固めてこの船員の顔を殴った。（Ｐ１５７）
1953.04/、釈放。中学教師として就職。
1956、緑島（収容所）で同じ隊の外省人・孫が訪ねて来る。失業しているので居候、窓からゴミを捨てたりするので近所から苦情。
孫を頼って、外省人Ｆが頻繁に訪問。Ｆ、孫、政治結社を組織。共産主義に偏ったもの。
1958、第一出版社を設立、「初中英語ハンドブック」を出版。好評、出版に専念。
1960.09/、「新英文法」を出版。その後、３０年間で１００万部のベストセラー。
Ｆの政治活動、盛ん。
1961.10/04 PM03、出頭命令。
尋問、不眠、暴行。
柯氏の弟の同窓生Ｕの自白調書に柯氏の名前が記載されている。Ｕはアメリカ出張直前に逮捕され、釈放されたい一心で、特務の言いなりの自白をした。そこでは、柯氏は組織の大物とされていた。
別件でＦの調書。Ｆは柯氏を形式上の首領に据え、不都合があれば台湾人を犠牲にしようと企んでいた。さらにＦは、柯氏が日本共産党と関係があると供述していた。
拘留中、新英文法は剽窃されて出版された。
もし銃殺刑になったら、私はＦとＵに殺されたようなものだ。
私は不遇をかこつ平手造酒に共感して、「大利根月夜」を歌った。
1962.05/、起訴、Ｕは多くの学生を巻き添えにしていた。
09/、判決、Ｆは１４年、私と孫は１２年、Ｕと弟は私の尽力で２年。
看守所で、ミロバン・ジラス著「新しい階級」を読む。共産主義の内幕を暴いたもの。
1965.05/、廖文毅、帰国。これにて、在日の台湾共和国臨時政府は瓦解。この運動は、全台湾人から期待されていた。帰国は、国民党の政治犯死刑の脅迫によるもの。
刑務所では、外省人と台湾人は半々。外省人は喧嘩をすると、借刀殺人（他人の力で人を殺す）の手法で、台湾人は獄中で活動を続けていると、獄吏に悪い印象を持たせた。
囚人には結核患者が多かった。当局はそれを治療せず、あえて感染させるというあくどい事をやった。
息子ふたりと娘ひとりは勉強家に育った。徴兵では、政治犯の子であるが故に虐待を受けた。しかし、意志の強い子なのでよく頑張り抜いた。
1971.10/、共産党の中華人民共和国が中国代表として国連安保理常任理事国になり、中華民国は国連を脱退。国民党政府は、台湾国民の事を考えていない。自分たちが中国の正統と言いたいばかりに脱退した。
これを受けて、看守は、共産主義者に好意を示すようになった。用心しないと、シナ人である国民党は、台湾を中共に売り渡す可能性もある。
満期直前、山東省出身の王という者が私の眼をピンセットで突いた。受刑者には、日頃から神経が異常な者が多い。幸い、失明はしなかった。
1973.08/、当局、家族に対して保証人を付けるよう要求。釈放するつもりもないのに、人をたぶらかして苦しめる政権。
10/04、母と妻の訪問。囚人はよそへ移動。そこでも面会謝絶。雨の中で立ち尽くす妻。５０ｍの距離を隔てての対面。精神的なショックで、妻は病気になった。
新しい収容所には３０人の囚人がいたが、三分の一は精神異常をきたしていた。
蒋介石が死に、息子の蒋経国が主席になった。妻は陳情書を出した。
1976.06/、刑期３年増しの１５年で釈放。
台湾人の勤勉と、日本時代のインフラ建設が、台湾の経済発展を導いたのであって、汚職と搾取する事しか知らない中国人には、経済建設を成し遂げる能力などありはしない。
１９９１年末、韓国で戦時中の従軍慰安婦の問題が取り上げられ、日本政府の謝罪と償いを要求する声が高まると、反日的な外省人の牛耳る台湾の婦人団体は、日本政府を攻撃するチャンスが来たとばかり、台湾にも慰安婦として召集された女性が７０名以上いたと称して、日本政府に対して謝罪と償いを要求する事を主張した。濡れ衣を着せられたかつての従軍看護婦の台湾女性がこれに反発して、われわれは看護婦であって慰安婦ではなかったと反駁した。
民進党籍の陳水扁立法委員は立法院で、「４０年来、軍中楽園と呼ばれる慰安所があって、大勢の台湾女性、特に高砂族原住民の娘たちが兵隊相手の売春婦になっていたが、これは慰安婦ではないのか」と国防部長を詰問し、「現在でも金門や馬祖の前線の基地には特約茶室という名の慰安所があり、慰安婦がたくさんそこにいる」と指摘して、政府の謝罪と償いを要求した。
過去の侵略戦争が尾を引いて、日本は東南アジアの国々から疑惑の目で見られ、中国と韓国も日本に対してあまり友好的ではない。最近では貿易上のもつれなどで、日本はアメリカから叩かれている。日本は経済力が強すぎる為に各国から妬まれて、国際的に孤立しつつある。そういう時、兄弟のように頼りになる友邦があれば、日本はどんなにか心強いであろう。（Ｐ２５４）
寸評
ひとつの中国とか、ふたつの中国とか、議論する事自体が厚かましい事です。台湾は中国じゃないのです。
清朝は台湾に県令を置いていたが、末期にはそれもなくなった。そもそも、清朝＝中国ではない。
日本統治時代はうまく行っていた。
大戦中は、台湾もアメリカの空襲を受けた。
戦後に、蒋介石（＝国民党）が台湾に乗り込んでいる。しかも、アメリカの護送によるのはどういう事か。つまり、国民党の対米宣伝工作がいかにうまく行っていたかという事。中国の宣伝工作は、筋金入り。（この組織は、中共に受け継がれている）
蒋介石は、火事場泥棒だ。
総選挙が行われて、外省人勢力が主流から追いやられた後、今度は中国本土が台湾を呑み込もうとしている。
台湾人にとっては、国民党も共産党もない。どちらも同じ中国人であり、侵略者である。
しかし、蒋介石は、故宮の宝物を台湾に運び込んでいる。台湾にとってベストな選択は、外省人を追い出すのと同じ数だけ、宝物を返還する事だ。１００万人の外省人を、故宮とともに追い出すんだ。
これは、台湾において、日本語で発行された書物です。
台湾の人の対日感情は良いが、高麗の人の対日感情は良くないといわれます。それを、台湾と高麗の国民性に由来するとする人もいます。
しかし、日本の植民地政策は、満州、朝鮮、台湾では違ったのです。朝鮮では、閔妃殺害というのをやっております。閔妃というのは、族閥＆売官政治の首領で、悪い奴です。当時のコリアン民衆を解放するには、これを討つしかありません。しかし、かりにも現職の皇后陛下（当時４３才）を斬殺されて、良い感情はしないと思います。それを割り引けば、高麗の人の対日感情の悪さは理解できるものです。
くれぐれも、台湾人は中国人ではないという事。本来は侵略者であり、虐殺者であるところの、ごくひと握りの外省人を捕まえて、あの悪の帝国に呑み込まれてはたまらないという気持ちがある。それが、台湾をして叫ばせるのです。台湾人の日本贔屓は、ほとんど「ＳＯＳ、助けて」と言うに等しいのです。蟻地獄に呑まれつつある蟻の、助命の叫びなのです。
中村輝夫 (軍人)