別 紙
【事件の概略】
原告は、軽天職人として、２０１２年度、７月１９日から、１０月１２日まで、被告・ヤ○○建工に在籍し、鹿島建設の受注する京都市立病院の建設工事に従事しておりました。しかし、１０月１３日早朝、トラブルがあって、現場を離れました。
給与体系は、２０日締めの末日払い、常用単価１２０００円で、７月分、８月分、９月分までは払って貰いましたが、最終月の１８日分は、半分の、６０００円相当でしか支払って貰っておりません。この不足分の支払いをお願いします。
【請求の原因】
支払いの不足によるものです。以下に証拠方法を述べますが、それに先立って、業界の賃金体系について説明したいと思います。
【常用と受取り】
建設傘下の工事会社は多くの職人を抱えていますが、職人を正社員として抱えているところはごく少ないものです。
○○ガラス、○○タイルと名乗りながら、実際に、ガラス施工作業や、タイル施工作業に習熟した人はひとりもいません。現場監督の連絡業務をする営業担当のみを正社員として、職人は外注という形を取るのがほとんどです。だから、建設傘下の工事会社は、遠い昔から、事実上の人材派遣会社になっているのが実態です。そのほとんどは、看板に偽りあり、というようなものです。
そんな中で、職人に対する報酬は、常用と受取りとの、ふたつの形態を取っています。
常用とは、１日の日当が１２０００円と決まれば、作業進行の是非を問わずに、その金額が支払われるものです。長く勤務する職人は、その増額を要請するし、見習い職人は、少ない金額から開始するものです。
朝８時から夕方５時までの労務を基本とし、残業や夜勤は別に支給される筈ですが、最近は、残念な事に、サービス残業になっているのがほとんどです。これは、各工事会社の過当競争が原因です。
これに対して、受取りとは、ひと部屋いくら、平米単価いくらと、一定の仕事を一定の金額で請負うものです。材料搬入の遅れなどがあれば、そのリスクは職人が被る事になりますが、その代わり、仕事が早く終われば、３時頃に帰るのも自由です。
常用、受取りとも、雇う側、雇われる側、それぞれに一長一短があって、どちらが得とは言い切れないものです。ただ、始めは常用で仕事をさせておいて、あとになってから受取りで払うとか、始めは受取りの話が、あとで常用で支払うとか、そういう虫の良い話は許されないものです。
以上を踏まえて頂いた上で、証拠方法に移りたいと思います。
【証拠方法】
甲第１号証−１ ６月２１日から７月２０日までの請求書
甲第１号証−２ ７月２１日から８月２０日までの請求書
甲第１号証−３ その分の支払い証明（＝貯金通帳の写し）
甲第１号証−４ ８月２１日から９月２０日までの請求書
甲第１号証−５ その分の支払い証明（＝書面）
甲第１号証−６ ９月２１日から１０月２０日までの請求書
甲第１号証−７ その分の支払い証明（＝貯金通帳の写し）
ここに不足があります。
甲第２号証−１ ９月２１日から１０月１２日までの駐車場チケット
ならびに、１０月１日夕方と翌２日早朝の高速代。
甲第２号証−２ ９月２１日から１０月６日までのチケットのアップ
甲第２号証−３ １０月９日から１０月１２日までのチケットのアップ
甲第３号証−１ １０月３０日夕方５時 ヤ○○建工での会話（＝ＣＤ）
甲第３号証−２ 同じく、会話録。
甲第３号証−３ その日の駐車券。
甲第４号証−１ 職安における、ヤ○○建工の募集
【証拠の説明１ 残業について】
甲第２号証 駐車場のチケットを見て下さい。そこには、退出時間について、次のように記されています。
９月２１日 午後２０時３２分
９月２２日 午後２１時５９分
９月２４日 午後２１時１０分
９月２５日 午後２２時２１分
９月２６日 午後２０時４７分
９月２７日 午後２１時５８分
９月２８日 午後２０時５２分
９月２９日 午後２１時５５分
１０月０１日 午後１７時３６分
１０月０２日 終日
１０月０３日 午後２０時１５分 二日分支払い
１０月０４日 午後２１時４２分
１０月０５日 午後１９時２４分
１０月０６日 午後２３時４６分
１０月０９日 午後２０時３８分
１０月１０日 午後２１時０９分
１０月１１日 午後２０時１１分
１０月１２日 午後２１時０６分
私は、常用で、夕方６時までという契約で働いていました。６時以降は残業という事になります。残業代はできれば欲しいのですが、８０年代まではともかく、それ以降は、どこの世界へ行っても、残業はあっても、残業代という言葉は聞かなくなりました。つまり、サービス残業、という事です。長い習慣の事で、私も苦にせず、仕事がある限りは、夜の８時まで残業をしていました。体がきつい時でも、まわりに合わせて、まわりが働いている限りは、自分も帰り仕度を急がないよう心掛けました。
幸い、鹿島建設さんの方で、シャワー設備を整えてくれていたので、仕事が終わった後は、シャワーを浴びて体を洗って帰りました。それがだいたい３０分です。月・水・金は、駐車場を出た後、近くのスーパーで弁当を買って、それを夕食に当てました。火・木・土は、近所の飯屋や中華屋で御飯を食べた後、駐車場を出ました。だから、月・水・金と、火・木・土とでは、１時間ほどのずれがあります。
私の主張を、信じるも信じないも自由です。ですが、私は、日当６０００円だけ支払うと聞いた時には、てっきり、この残業代の分かと思ったくらいです。
【証拠の説明２ 作業について】
甲第１号証−６ ９月２１日から１０月２０日までの請求書を見て下さい。
請求書の詳細を見ると、手直しが多く、素人目に見ても、作業が捗っていないように思われます。特に、１１日、１２日分についてはそうです。しかし、これも、常用仕事だからやった仕事です。常用で仕事をさせて置いて、捗っていないから受取りで支払う、等という理屈は通りません。それだったら、経営者は馬鹿でもできます。さらに言うなら、私はこの仕事については、現場監督から直接指示を受けた訳ではありません。又聞きでやった仕事です。受取りでやるなら、図面なし、監督からの指示なし、というのは考えられない事です。私は遊んでいた訳ではありません。進捗状況が悪いのは、私のせいではないのです。
【証拠の説明３ 会話について】
甲第３号証 ヤ○○建工での会話について説明します。
これは、１０月３０日の夕方、電話にて、給料を支払うから取りに来いと言われて、ばか正直に、のこのこと会社まで伺った時の会話です。
ヤ○○建工は、仕事をしてくれた人に対して、賃金を支払わず、このような物の言い方をします。これは、礼儀正しいとは言えない態度です。
当初、こちらが下手に出ているのは、お金を貰う立場だからです。しかし、この姿勢は、裏切られた訳です。
３分頃、こちらが退職した理由につき、会社に連絡がなかった事の非が問われています。しかし、一連の経緯を見れば、辞める理由は充分にあったのです。これより、これ以前の経緯について説明をします。また、現場の采配については、職長に一任されているものです。職長とそりが合わないからと言って、会社に仲裁を求めるのは難しいものです。
９月１日、午前、屋上にて仮設ドア解体の作業をしました。ここは、屋上なので、アスファルト防水を行う業者さんが材料置場にしていました。そして、私が来た時には、材料を移動している最中でした。私は、どこまでばらすかにつき、職長の説明を聞きました。
その時、防水屋さんが、これくらいで良いでしょうかと、我々に声をかけたので、私もその方を振り向きました。この時、職長は、人が話をしている時によそを見るなと、えらい剣幕で私に向かって怒鳴りつけました。一連の作業は、現場監督の指示によって行われているものです。だから、防水屋さんは、防水屋さんの仕事をしているに過ぎません。しかしそれは、我々が作業をする為に場所を空ける為の作業ですから、半分は、我々の為にしてくれているのです。我々が、それに対して多少の応対をするのは当然の事です。後ろから声を掛けられたので、私は振り向いただけです。職長こそ、話を中断して、防水屋さんの問いに答えるべきなのです。にも関わらず、私は、よそ見をするなと、くどくどと叱られたのです。
１０月９日午前、別注のダクト開口の仕事をしました。ふだんは、図面通りにやれ、地墨通りにやれと、うるさく言われるのです。私は、町屋の仕事が多かったので、現物合わせにする事が多かったのです。それで、図面通りにやれ、墨通りにやれと、いつもうるさく言われていました。それで、ここでも、地墨通りに正確に仕事をしたのです。それが、ここに限っては、現物合わせにしろという事で、なぜ現物合わせにしなかったのかと怒鳴られ、さらに、「馬鹿、馬鹿、抜け作！」と罵倒されました。それは、まわりにいるよその業者さんが気分を害するくらいの大声で、しつこく怒鳴られたものです。それは、人の対面を傷付けるのに充分なほどのものです。ふだんは墨通りにやれと、うるさく言われるのです。それが、ここに限っては、現物合わせにしなかった事を咎められ、えらい剣幕で怒鳴られたのです。この件で、私の、この職場に対する気持ちは、冷めたものになりました。
１０月１２日夜、４階はほぼ終了したので、ヤ○○建工の作業班は６階、７階に回る事になりました。それで、夕方過ぎから、６階の材料移動の仕事に従事しました。この時、職長は、私の事を、「○江、○江」と呼び捨てにしました。これまではずっと、さん付けで呼んでいたのです。もしくは、班長、と呼んでいました。なぜ、この時から、呼び捨てにされたのかは分かりません。ただ、これで、私の職長に対する気持ちは、離れてゆきました。
１０月１３日朝、この日は、多くの応援職人の方が来ていました。支払いの事もあるので、応援の方にはまとまった仕事をして貰い、雑工事は、その現場に常駐している常用職人がやるのが常です。私は朝一番に、職長から、今日は足場移動を指揮して貰うと頼まれました。体格の良い揚げ屋さんもひとり付けてくれました。私は張り切っていました。しかし、数日来の事もあり、どこかで、辞める口実を探していたのも事実です。
朝礼後、私は揚げ屋さんとともに、セーフティ・ベースの移動を始めました。しかし、通路はごった返しているし、セーフティ・ベースは、そんなにてきぱきと畳めるものでもありません。私はこう見えても、早く畳める方です。ところが、職長は、この私に付きっきりで、「はよせい、はよせい」と檄を飛ばすのです。しかも、職長は、若い揚げ屋さんは君付けで呼ぶのに、私の名前は呼び捨てなのです。
足場移動というものは、職長さんが見守っていなければならないような仕事ではありません。ただ荒い、きついだけの仕事なので、好きに任せて貰いたいような仕事です。私は、やりにくさを感じました。すると、職長は、それと察したのでしょう。眼の色を変えて、「言う事が聞かれへんねやったら、辞めてしまえ！」と怒鳴りました。気持ちが離れている所へ、この言葉です。私もすぐに、「辞める」と言い返しました。
ここ二、三日、気持ちが喰い違っているので、職長も、この一言でこちらの覚悟を理解してくれたようでした。私は、仕事を離れて、自分の道具をまとめました。私の持ち込んだ道具は多く、また、現場のほか詰め所にも道具がありました。現場と詰め所とは離れていたので、全部まとめるのに１時間くらいかかりました。現場を出る時に、また職長に会いました。職長の方から、会社に連絡を入れてあるので、これ以上余計な説明をしなくて良いと伝えられました。ヤ○○建工の人が現場に顔を見せたのは、今まで二回くらいです。多くの事は、職長に任せています。私と職長とが齟齬を来たしたのは、もう随分前からです。だから、私が、何の前触れもなく、急に辞めた、というのは正しくありません。辞めるだけの理由は、充分にあったのです。こんな目に合いながら、辞める事もできないというのであれば、それは、鎖につながれているのと同じです。
同じく３分頃、「材料は切りっ放し、間違いっ放し」という発言があります。これは、言いがかりです。私は、端材はちゃんと捨てていますし、間違いは自分で直しています。言われる通りの人間なら、一日でお払い箱の筈です。３ヶ月も持つ筈がありません。
６分頃、泥棒、という言葉が出てきます。これは、この時、始めて、ヤ○○建工さんの方から出た言葉です。これ以前、電話を２回かけていますが、その中では、双方とも、泥棒という言葉は出ていません。泥棒、という言葉は、ヤ○○建工さんの方が、自分から言い出した言葉だという事を、ここに銘記しておきます。
７分頃、羽○さんの名前が出ています。これは、私と入れ違いに辞めた人です。誤解があってはいけないので、この人の事を話させて頂きます。
この人は、小部屋では私よりずっと早く仕事ができました。しかし、大きい部屋では、私が仕事を任されました。入れ違いになったようですが、私とこの人との間には、感情的な軋轢はまったくありません。さらに、もうひとつ、言って置きたいことがあります。
天井下地は、天井より上の部分を組む仕事ですが、もうすでにそこには、空調設備、銅線が多く這っており、照明があっても、影になって暗いものです。ボルト穴を探すには、ヘッドライトが欠かせません。これは作業に必須な道具ですが、支給されず、みな自費で購入しております。私はこれを持っていましたが、羽○さんは持っていませんでした。円滑に作業を進めたいなら、不可欠です。そこで、羽○さんは私のヘッドライトをよく借りました。それは良いのですが、私と羽○さんと、二人ともが、ボルト付けの作業に回る時があるのです。そういう時は、不便なものです。そこで私は、盆休みの間に、この人の為に、２０００円を出してヘッドライトをもうひとつ購入しました。それは、プレゼントするつもりだったのです。ところが、盆明けに出てみれば、羽○さんはもう辞めたという事です。日当１２０００円と言っても、それは純粋に作業費だけではなく、必要な道具を購入する費用もそこに含まれているのです。これを、ここに銘記して置きます。
８分頃、「うちは奉仕しとんねん！ 最初から。でけへん人間にぃ」という発言があります。給料を払いもせずに、奉仕しているとは、厚かましい発言です。また、私を指して、「でけへん人間」と言うなら、その「でけへん人間」はさっさと首にして、「できる人間」を雇えば良いのです。
１０分頃、「ずっと長く続くんやったら面倒見たる」という発言があります。私は、５１才です。５１才の職人に向かって、今後の成長を見込んで、というような発言をするのは、世界広しといえども、この人くらいのものです。５１才の職人に対しては、現時点での技能を見込んで、現時点でそれにふさわしい賃金を支払うべきです。建設現場は、気の荒い人も多く、意地の張り合いで仕事が前に進まない事もあり、人の出入りが激しいものです。だから、会社ごとに職人の日当を査定して、急に辞めた時は、辞めた日までの出勤日を掛けて清算するという事で、業界が成り立っています。仕事を辞めるのは不幸な事ですが、辞めるには辞めるなりの理由があります。辞めずに残っていたら、喧嘩になるなり、事故を起こすなり、かえって悲惨な事態を招きかねません。合わない人間は、辞める方が良いのです。そして、合わない人間にも賃金を払うのは、入社する時にそこまで見抜けなかった者の払うべき礼節です。合わなかったから賃金を払わなくて良い、という理屈は通りません。また、ここで番頭さんは、私の立場、技能を不当に低く評価しています。十代の見習い職人だったら、今後の成長を見込んで、収益よりも余分に賃金を払う、という事はあります。会社がそんな事をするのは、見習い職人限定です。そして、ここで、番頭さんは、私に向かって、いかにも見習い職人を相手にするような口を叩いています。しかし、私は、見習い職人として入った訳ではありません。５１才の職人に向かって、お前を十代の見習い職人のように思っていた、と言う事自体が失礼です。これは、自分の泥棒行為をごまかす為のトリックです。
この会話は、デジカメで録音したものです。なぜこのような失礼な真似をしたかというと、私は以前にも似たような目に合っているからです。近年、払って貰うべきお金を、払って貰えないという事例は、多発しています。
私は以前、オクダという会社で働いていました。応援が多く、近い現場ばかりで、何の問題もなく働いていました。ところが、ここがメインになって、三田郊外の老人ホームの仕事を受注しました。飛島建設の仕事です。現場は、三田からふた駅向こうの広野から、さらにひと山越えたところです。クルマだと、高速を使っても片道２時間以上かかります。それが三ヶ月も続くと、疲労が蓄積して体力が持たないのは容易に予想できます。私は社長と相談して、電車で通う事にしました。交通費は会社負担で、広野駅からは自分のミニバイクです。予想が的中して、三ヶ月後、クルマ通勤の者はみな疲労困憊し、しまいには気が立って喧嘩っ早くなりました。しかし、私は、最後まで元気よく、誇らかに通い続けたのです。最後になって、交通費は出せない、という事を聞きました。
会話の様子で、ピンハネをしている訳でないのは分かりました。ここはずっと、大手ゼネコンの下請けへ応援を出す仕事をしていたのです。それが、中堅ゼネコンから直接仕事を請負ったのは、今回が始めてです。現場では、手直しはありませんでした。これからも継続して仕事を出すという条件で、最初に提示された金額を差し引かれたのでしょう。しかし、そこは経営者が、会社が、腹を痛めねばならないところです。上から貰えなかったから、下に払えない。そんな経営だったら、子供にでもできます。近年、自由化で、工事会社の数は多く、値引きをしてでも仕事を取ろうとします。しかし、その皺寄せをそのまま下に回すなら、労働者の立場から言えば、そんな会社は存在しない方がありがたいのです。工事会社がひとつだったら、ゼネコンも値切る事ができないからです。
【むすび】
内装業界では、ずっと、オクジューや大興物産といった会社が頑張っていました。新興のヤ○○建工が仕事を貰うには、これらの会社よりも安い単価で受注しなければならないのです。よそよりも安く受けながら、職人には厚く報いる。そこが、経営手腕の見せどころです。ところが、よそより安く受けて、職人には幾らも払えない。そんな会社だったら、存在しない方が世の中の為です。それだったら職人は、オクジューや大興物産へ行った方が、取り分が多いからです。
私は、一職人として、オクジューや大興物産で働く事もできます。かつて、応援部隊として、オクジューや大興物産の職人と一緒に、同じ現場で仕事をした事もあります。鹿島建設は所内で使う足場に、脚立や道板を使用せず、セーフティ・ベースという大掛かりな足場を使用します。下手に扱うと、腕や足を打撲しかねないものです。このセーフティ・ベースを、何のレクチャーも受けず、ひとりで畳んだり広げたりできたのは、かつて、西梅田のサンケイ新聞の新社屋で、応援部隊として、鹿島の大興物産の下で働いていたからです。
私は当現場で、セーフティ・ベースの扱いについて、何のレクチャーも受けておりません。つまり、素人扱いはされていないという事です。その職人の日当が、常用で６０００円。これはつまり、ヤ○○建工は、ただ仕事の単価を下げるだけで、何ひとつ経営努力をしていない事の証左です。あんまり単価を下げすぎて、若手の育成もできない、満足に道具も提供できない、という苦境に自分から陥っているのです。
内装関係では、中小企業も多いです。しかし、それらの会社はそれなりに頑張っています。例えば、ドミアート、タカギ等では、営業社員が２ｔトラックを運転して、材料を運び、搬入して、簡単な仕事ならやってしまって、こちらの目を驚かせます。ところが、ヤ○○建工は、よそより安い単価で仕事を受けながら、現場に顔を出さず、材料搬入は運送屋任せ、揚げ屋まかせにして、大手と同じように振る舞いながら、職人を虐げて利益を上げようというのです。こんな会社だったら存在しない方がましです。ただ単に、職人の賃金を下げる為にのみ存在しているような会社です。いわゆる、「 賃下げ屋 」です。
むかし、明治大正の頃、労働者がストライキをして賃上げを要求すると、暴力団がやって来て、旦那方に逆らうなとばかりに、殴る蹴るの暴行を加えたものです。いま、大手ゼネコンが仕事を募って、そのあまりの単価の安さに、オクジューや大興物産が受注をためらっていると、ヤ○○建工がやって来て、仕事を引き受けます。そして、職人の尻を叩いて、安くこき使います。これは、つまり、やっている事は同じなのです。昔の、やくざや、暴力団と、同じ位置付けにあり、同じ役割りを果たしているのです。
業界では有名な話ですが、大興物産では、職人を正社員として雇用しています。ここは、鹿島建設のグループ会社だから、それだけの事ができるのです。また、オクジューは、新米職人の教育に熱心です。入って来た見習い職人には、漏れなく、インパクト・ドライバーをプレゼントするのです。ところが、安く請け負っている工事会社は、新人教育もできないので、最低賃金の引き下げをするよう運動を起こしたりします。これは、反社会的存在というものです。価格競争は許されるとしても、労働者の生活が成り立たないほどの賃下げは犯罪的です。それは、人を殺しているのと同じ事です。しかも、特定の業種だけがその皺寄せを喰っているのも問題です。
電気設備に関しては、「きんでん」さんが大きく、鹿島・竹中・大林・清水・鴻池など、ほぼすべての大手ゼネコンを相手に、仕事を受注しています。だから、価格決定権があります。ところが、内装業は、オクジュー・大興物産・サンユー・大建・トップライズなどが乱立して、それぞれゼネコンの専属になるばかりか、互いに競争して、価格を引き下げております。さらに、中小の業者が参入して、若手の育成、安全管理ができないばかりか、職人をよそから引き抜いてきて、厚く報いるどころか、働くこと自体が嫌になるような目に合わせます。自由化、規制緩和が、必ずしも社会に繁栄をもたらさない事を指摘して、本件の訴状の結びとさせて頂きます。